第三章 遺剣と協会と

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「貴公がソウキチとクロか?」   くぐもっていて少し聞き取りにくいが、長身の人間が私達に話しかけているのはわかった。   「そうだけど……」   彼以外からクロと呼ばれるのは何か違和感がある。そもそもコイツは何故私達の名前を?   「これは失礼した。討伐協会副会長のタイラ・ソディックだ」   「……副会長?」   この人間が?。副会長といえば実質上この国のナンバー2。そんな大物が私達に何用があるのか。   「噂には聞いている。奇妙な力を使う異国の人間がいると。上級魔生物も何体か倒しているとも」   「旅をする分の生活費が欲しいだけですよ。副会長さん」   この副会長からは匂いはない。じゃあ魔生物なのは横にいる白髪の少女か。   「旅か。まぁいい。現在私は会長の命令で優秀な討伐者を視察している。貴公もその一人だ」   「ほぅ、優秀とな」   彼も男も敵愾心はない。しかし一応少女には警戒しておいた方がいいか。   「上級魔生物と渡り合える人間は数少ない。一対一で戦える者などはもっと少数だろう。貴公のような異能の力を持つ者、もしくは魔生人(マネア)」   男が私を一瞥する。間違いない。この男は私の正体を知っている。  
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