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一つ始末した事で村人に襲い掛かっていたオーガ達が一斉に彼を向く。
「オマエ、ツヨイニンゲン……」
「ツヨイニンゲンクウ……オレタチツヨクナル」
中級魔生物にしてはそれなりに言語を話せるのか。人間の遺伝子を組み込んだ生物にしては、そこそこ機能しているようだ。
「お前らに喰われてやる程俺は落ちぶれてはいないな。さぁ、かかってこいよ」
挑発に乗り、オーガ達は連係も考えずに突っ込んでくる。
彼は剣先を下げて地につけながら円弧上にオーガの猛攻を避けた。
「ほら、こっちだ」
彼はわざと間合いに近い位置に移動し、まるで追いかけっこのようにオーガ達を誘う。
巨体が不運となり、オーガは素早く動く彼を捉えられない。
「ほい、完成っと」
彼が手を広げてオーガ達に向けると途端に身動きしなくなる。
この国にはない特殊な力……彼の国では『隠力』と呼んでいるらしい。それが発動した。
「悪いな。俺は決闘じゃなきゃ真剣に勝負するつもりはないんだ。これで我慢してくれ」
彼は広げた手を握りしめていく。と共にオーガ達は圧縮され、潰されていく。
抵抗は勿論している。だが彼の隠力……空間力は破れない。
彼の手が握り拳となったとき、オーガ達は破裂し、大量の血飛沫を撒き散らした。
ある意味彼に斬られる事よりも残酷な殺され方だ。
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