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「……ふぅ」
今日の日記を書き終えると同時に息が漏れた。
別に理由があるわけではない。
強いて言うならば、安堵の意味だろう。
今日まで何も起こらなかった事への。
準備は出来ている。
準備は出来ているのだが、
五十年近く生きてきている僕でさえ、未知への恐怖というのは底知れず、得体の知れない事柄なのだ。
しかしその事柄に関しては、二度目の生を受けてから今日まで様々な経験をしてきたが、何故こうなってしまったのかヒントさえ掴めない。
調べられる事は自分で出来る範囲ではまずまずやった。
だが、前兆さえない。
一時期もしや僕の周りに居る人全てが記憶を持った生まれ変わりなのかと勘繰ったりもしたがそういう可能性は今まで生きてきて限りなく低いと断定した。
人は見栄を張る生き物。
だけどニュースなどでそれを見ると、僕がここに居るという確信が生まれるのは事実だ。
この世界は汚いけれど美しい。
その背反の意味が二度目の人生でようやく分かってきた。
明日も早い……今日はもう寝よう。
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