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7年前――――
「おい。吾妻ぁ。幼なじみの久谷 慎太郎(クタニ シンタロウ)様がお前の自称フィアンセの多々良 奏(タタラ カナデ)と一緒に迎えに来てやったぞ」
そう久谷の声が聞こえ、誰だろう頭蓋骨への衝撃音が響いたところで僕は目を覚ました。
珍しく寝坊した。
――――――――
「ごめんね。別にここに入る為に来たわけじゃないから勘違いしないで」
「……ああ」
謝っているのかそうでないのか、日本語をはっきりとしてほしいものだ。まぁ小学生らしいと言えばそうなるのか。
子供がいなかったからよく分からない。
「いやぁ、飯までもらって本当悪い悪い」
「どうせ朝ご飯食べてきてないんでしょ」
「家は共働きというやつで二人共忙しいから仕方ねぇんだよ」
「だからってここで朝ご飯を食べていい理由にはならないわ」
「うるせぇな。親にはちゃんと許可取ってるから大丈夫なんだよ」
どうやら久谷の親は家の朝食事情に干渉出来るらしい。
「あんたの親って一体何物なのよ!?」
「さ……さぁ…?」
そこで、もはや僕は笑いを堪え切れなかった。
前の僕に家族がいたらこんな家庭だったのだろうか?
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