挿入話

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「おーい!奏ぇ!早く帰ろうぜ!」 放課後。久谷は早く友達とサッカーがしたいのか急ぎ気味で奏を急かす。 「今日は図書室で借りたい本があるから貴方達は先に帰っててもいいわ」 「んだよ~、連れねぇなぁ」 と言いながら久谷は奏の下へ駆け寄る。思わず笑みが零れながら迷わず僕もそれについて行く。 「それじゃあ俺も何か本を借りて行ってやるよ」 「別にいいって。貴方どうせ活字は苦手でしょうし、サッカーもあるでしょ」 「こまけぇこたぁ気にすんなって。時間はあるしな」 「……べつに気にしてないけど――ってあぁ!?それ私が借りようと思ってた本!!」 「えっ?」 暇潰しの為何気なく僕が借りた本がどうやら彼女の気に障ったようだ。 『兵法について』 ……女の子が一体これで何を学ぶつもりなのか? 「貴方を圧倒する力を得る為に決まってるでしょ」 「……そうなのか」 これは果たして、いい兆候なのか悪い兆候なのか。 「んじゃあ…………俺はこれ借りよっと」 『殺人空手道。いわくつきでちょっとHなDVD付き』 ……久谷は何で釣られたのだろうか?……じゃなくて色々ツッコミどころが有りすぎて困る。 とりあえずこれは悪い兆候だと言う事は断定しておく。 「これでお前に勝てるな」 「……代償は大きそうだな」 無邪気とは一体何なのか?  
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