今はまだ眠ったまま

7/8
前へ
/63ページ
次へ
「いや、そういうことじゃなくてさあ」 「青年実業家として、海外の企業と提携して利益をあげ、その 一部で全国の病院の小児科を支援してるって聞いたが」 「さすがだね、記者さん。仕事柄…かな?」 『そんなことしてるんだ!』 「実は、それとは別に始めたことがあるんだ」 「そうなのか」 『何を始めたの?』 「児童養護施設の支援」 『へぇ…』 はるの顔が少々曇った。 「[もみじの里]って知ってるかい?」 『………』 「なんだよ、はる…」 『知ってるもなにも…私が18歳で高校を卒業するまでいた施設じゃない…って、わざと聞いたんでしょ!』 「ご名答。」 はるが、まさか施設にいたとは知らなかった… 『で、もみじの里がどうしたって言うの?』 「ああ、実はもみじの里が廃園の危機にさらされていてね…」 『はぁ?何言ってんの?』 「どういうことだ」 『そうよ、どういうことよ』 「うん、実はね…あそこ、借地なんだよね…」 『えーっ!私、この前のクリスマス会に行ったばかりなんだけど…園長先生とかそんなの何も言ってなかったよ』
/63ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加