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いつもならどちらかが妥協して終わるのだが、その日はどちらも譲らなかった。
そしてそのままケンカに発展して、今に到るという訳だ。
「本当にね…
こんな事で怒るなんて、子供みたいだって思うわ。
だけど、その時は本当に諦めたくなかったの。
どうしても紫色が欲しかったのよ――」
「――と、いう訳だ」
アーヴァント邸、いつもの客間。
申し訳ないと思いながらも、俺はシエル達にサリーの話をしていた。
俺一人では役に立てなさそうだったからな。
俺の話を聞いたシエルがうんうんと頷く。
「わかる…わかるわ、サリーの気持ち。
確かに、譲れない時ってあるのよ」
「あるのか」
「そうそう。
男にはわからない、女の子のこだわりとか理由とかさ」
「それを何故男のお前が言う。」
「あ、あの。
それでその後、サリーさんは彼氏さんとは…?」
「…会ってもないし、連絡も取ってないらしい。
自分から連絡するつもりはないとも言っていた」
「なるほどね…
これはかなりの重大事件だわ」
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