モニカの幸せ

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モニカの瞳は、ずっと揺れたまま。 しかし俯いているアルはそれに気づかず、続きを口にする。 「…隣町への、山道。 そこにおじさんとおばさんはいた。 でも、ルシーだけは見つからなくて…」 必死に探した。 もしかしたら彼女だけでも生きているのではないかと、小さな望みに全てを賭けた。 けれど結局、彼女を見つける事はできなかった。 「…大人達は、もしかしたら崖から落ちたのかもしれないって言ってた。 それか…捕まって、売り飛ばされたのかもって」 「!」 モニカの顔色が変わる。 奴隷商人。 「…アーヴァント…」 俺はアーヴァントを見た。 アーヴァントはモニカを見つめたまま、動けないでいた。 サーカス。 山道で殺された夫婦。 行方不明の、モニカに似た少女。 もしかして、どころではない。 これは…  
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