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「ちょっと聞いてる?零」
名前を呼ばれたと思ったら、眼前に美羽がいた
そういえばなんか話してたな………
「ん………?ごめんごめん」
「おかしいわよ、貴方」
「そんなことないって、美羽。お前の気のせいだ」
笑いながらそういってみせた
「いつもなら、貴方はそんなこと言いわないもの………。さっきの話……聞いてたけど、一の言ってた事は、無理して繕えという事ではないわ」
無理をしているということを前提に、話を推し進める美羽にだんだん苛立ちを覚える
「別に無理していないし、繕ってなんかもいない」
「嘘ね。…………貴方って嘘が下手なのよ。すぐ顔に出るもの」
否定されてついカッとなり、怒鳴る。
「そんなことねぇっつの!第一、お前が俺を語るんじゃない!」
一瞬で場が静まり、冷静さを取り戻す
「あ………悪い……美羽」
美羽が笑う
「そう……それよ。それが普段どうりの貴方に近いんじゃないのかしら?」
「…………あ」
確かにその通りだった
「言われてみればそうかもな。………ありがとな、美羽」
「べ、別に………礼を言われるほどじゃ…、ないわ」
それに………と美羽が続ける
「私達………友達じゃない?」
俺は美羽のその言葉が無性に嬉しかった
「そうだな……………ありがとう」
「そんなに礼を言うのは……貴方らしくないわよ」
「でも、ありがとな。調子出てきた」
「わ、私に感謝しなさいね?」
「ああ、ありがとう美羽」
すると美羽はぶつぶつ言いながら、どっかにいってしまった
照れるならやらなきゃ良いのにな
今までので分かったが、俺の調子が悪いと皆が心配するみたいだ
だからって別に無理する訳じゃない
しかも、美羽のおかげで楽になった
だから後は、普通の俺で過ごすだけ
そう普通のオレで過ごすだけなんだ………
その時、チャイムがなった…………
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