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五月には、ゆとりのための長期休暇がある。
その名も、GW。
それぞれ主旨は違うだろうが、国民はこの休暇を何かしら効果的に利用するだろう。
俺──蒼井幸人(アオイユキト)も、そのうちの一人になるはずだった。
こいつがいなければ…。
「お前…いつもどうやって入ってきてんだよ」
「それは乙女のたしなみってやつだよ、ユッキー」
ピッキングや不法侵入は乙女のたしなみらしい。
俺にはさっぱりわからん。
「で、今日は何の用だ? ガチムチの動画でも一緒に見に来たのか?」
「違うよっ!」
「まぁ…少し遅めに来たことは誉めてやる。けど用もなく勝手に部屋に入ってくるな」
「うーん…一応いつも通りの時間に来たんだよ?」
「いつも通りの?」
「朝の4時ぐらいからずっと」
「はぁっ!?」
「いやー、あまりにもユッキーの寝顔がかわいかったからさ。見とれてたらこんな時間に。てへっ」
「てへっ。じゃねぇよ! 来てたんだったら起こすか行くか、どっちかにしろよっ!」
「ははは。ごめんごめん。気をつけるよ」
こいつは本当にわかっているのだろうか。
わかってないんだろうな。
俺は嘆息して、起き上がった。
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