そのいちっ! 俺の自由を返せぇぇぇえっ!!      BY蒼井幸人

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「で、そこの坊主。お前の名前は?」 「俺は蒼井幸人です。よろしくお願いします」 「あぁ、よろしく」 そんな感じに、みんなお互いに自己紹介を終えて、再び歩き始めた。 行き先は道場の方。 どうやら橘はそこで稽古中らしい。 なんか悪いことしたな…。 「気にしなくていい。稽古といっても家の門下生の相手をするだけだからな。今日くらい休んだところで支障はないさ」 「そうですか」 「ところで健ちゃん。あーちゃんって実際どのくらい強いの?」 健ちゃんとは、この剛健さんのことである。 藍羅…お前のフレンドリーさには感心するよ。 「……まぁ、それは見てもらえばわかるよ。っと、着いたぞ」 そう話してる間にも、道場に着いたらしい。 剛健さんは道場の中に入っていく。 俺たちもそれに続いて中に入った。 「打ち込みが甘いわよっ! 次!」 『はいっ!!』 甲高い竹刀の音が響く。 「しっかり振り切りなさいっ! 私が女だからって手を抜くんじゃないのっ!!」 『すいません!』 橘は中心で防具を着けずに、数人の男の人──恐らく門下生の人たちだろう──と竹刀で打ち合っていた。 その凛とした姿に思わず俺は息を飲む。 俺たちは、橘の姿をただ呆然と眺めていただけだった。
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