255人が本棚に入れています
本棚に追加
「よし、ここらで俺も乱入といきますか…」
隣の剛健さんが肩を回しながらそう言った。
そして、
「飛鳥ぁぁああ、好きだぁぁああっ!!」
剛健さんは叫びながら橘の方へ走っていった。
しかし、次に起こったのは一瞬の出来事だった。
橘は竹刀を放り投げ、代わりに袴の裾から木刀を出す。
そしてその木刀を音もなく振りかぶり…
「くたばりなさいっ、このへんたぁああいっ!!」
「ぐはぁぁああっ!!」
剛健さんを滅多斬りにした!
その間約コンマ一秒。
刹那的とはこの事である。
「………ふぅ」
その光景に思わず俺たちは拍手をしてしまう。
「ん? 来てたんだ、あんたたち」
この子がさっきから言っている橘飛鳥(タチバナアスカ)。
白金の輝く長めのポニーテールと、鋭い赤目が特徴の女の子だ。
「うん。ついさっきね」
「そうなの」
「それよりもさ、橘。剛健さん…大丈夫なのか、これ…」
近寄ってみると、白目剥いてピクピクと痙攣していた。
「大丈夫よ。いつものことだから」
橘は木刀をしまって、そう言った。
「さ、行きましょ? 今日は家で遊ぶんでしょ?」
「あ、あぁ…」
橘に促されるまま、俺たちはその後ろをついていった。
最初のコメントを投稿しよう!