二宮龍平

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小汚い木造アパートの1階奥の部屋が、俺の家だ。 これまで死ぬほど贅沢した時もあったが、ぶっちゃけ今はこんな感じだ。 不況で給料が寂れたせいもあるが、稼いだ金はほとんど母ちゃんの病気に使っている。 重い病気は、いくら金があっても足らない。 俺の仕事は完全歩合制。利息で生まれた金を組に上げて、残った金で毎月の給料が決まる。いつ終わるかわからねえし、さらにいつ捕まるかもわからないリスクの高い仕事だ。 にも関わらず、給料は意外と低いんだぜ? やってられねえよ。 建て付けの悪いボロボロの扉。 いつものように鍵を回し、家の中へ入ろうとする。 「あー。なんだこれ?」 扉を開けると、隙間から何かが落ちた。 汚らしい床に落ちたのは、真っ白い綺麗な封筒。 俺はそれをゆっくり手に取った。
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