179568人が本棚に入れています
本棚に追加
/328ページ
綺麗な封筒の中には、短いメモが入っていた。
━━━━━━━━━━━━━━
待つのは今日までだ
ついてくるのも、こないのもお前次第
そのままでいるか、人生を俺に託すか決めろ
━━━━━━━━━━━━━━
脅しにさえ聞こえてきそうな内容。
誰が書いたのかは、一目瞭然だった。
あいつ、俺の家まで知っているのか。不気味な野郎だ。
俺は封筒にメモを戻し、家の中に入った。
寝込んでいる母ちゃんの前に座り込む。
「帰ってきたのかい?龍平」
母ちゃんは弱々しい声を出し、首だけを横に動かして俺の方を見てきた。
「ああ。体は大丈夫か?」
毎日、帰ってきたら必ず訊く言葉。大丈夫なはずがないのに、母ちゃんは必ず大丈夫と答えてくれる。
また果てしない看病生活の中で、その言葉だけが俺の支えになっていた。
「何かあったのかい?」
最初のコメントを投稿しよう!