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眠りについて、どれくらいの時間が過ぎたのだろうか。
「透っっっっ!」
兄貴がいきなり大声でオレの名前を呼ぶのと、オレの上に馬乗りにまたがるのとはほぼ同時だった。
グニャリと歪んだ画像を見てるように、オレの目に映るすべてが動いている。
部屋も家具も、それらを取り巻くすべてが揺れている。
それからは、瞬間だったのかもしれないが、オレの目にはやけにゆっくりと、スローモーションのように部屋が揺れ、屋根が崩れ、兄貴の上にタンスや柱がおびただしく落ちてくるのが見えた。
「あ、兄貴っ!」
「う゛っっっっっ。」
眉間にシワを寄せ、痛みにこらえるように声にならない声を上げながら、兄貴は態勢を変える事なくいつまでもオレの上に乗っかったまま、顔色は次第に蒼白になっていた。
「兄貴?おいっ、兄貴っっ。」
「・・・・・。」
返事が聞こえない、体が動かない。
何が起こったんだ?
兄貴の首に突き刺さるように、木材が落ちて来た。
その木材を伝って、ポタリポタリとオレの上に落ちてくる生温かい血液。
ウソだろ?
何が起こったのか、全然わからないまま、ただやみくもにオレは叫んだ。
「兄貴っっ!」
声がかすれて、音にならなくてなっても、叫び続けるしかできなかった。
「兄貴っ!!」
倒壊した家の木材や家具が所狭しと邪魔して指先くらいしか動けない。
兄貴は目を見開いたまま、動いていないのに・・・何もできない!
「兄貴ぃぃぃぃぃぃぃぃぃっっ]
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