3残された不安

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 明良が声がかれるまで、声がかれてもなお叫び続けていたころ、私はまだベッドの上だった。 「何なの、コレ?」 頭に激痛を感じ、目を覚ますとベッドの上に配置してあったコンポが落ちてきていた。 豆電球をつけてたはずの部屋なのに、すべての明かりが消えて、真っ暗になってしまた部屋で、コンポを手探りで払いのけるのがやっとだった。  けれど、体が揺れている。 左右前後、まるで新種の絶叫マシーンにのってるかのような、言いようのない感覚だった。 しばらくして、揺れがおさまる事にやっと私は異変に気が付いた。 「おい紗弥加、無事か?」 父親が、廊下から私を呼んでいる。 「うん」 とりあえず返事だけして、ベッドから降りようとして、再びビックリした。 だって、素足の感触がヒンヤリしたいつものフローリングじゃなく、グニャリとしていて、私の体重で変形してしまったから。 え? ポルターガイスト? しゃがみこんで、足の下にある物体を確かめようと触れてみると、ソレが紙である事がなんとなくわかる。 ああ、寝る前に読んでいた漫画だ・・・。 それから、ドアにたどり着くまで手探りで不明な物体をいくつも足下に感じながら、いちいち確かめるのも怖くて、とりあえずドアを開けようとした。 なのに、ドアが開かない!! どれだけ力を入れてもびくともしない。 「うっそ!!父さん!!!」 ドアを内側からドンドンと叩き、廊下にいる父親に助けを求めると、父さんはすぐに返事をくれた。 「紗弥加っ、どうした?」 「開かないのっ!ドアが開かないのっ!」 恐怖から涙がこぼれ落ちてくのがわかる。 「ドアが、ドアがぁぁぁぁ。」 自分でもこんなに取り乱すのは初めてだと思うくらいのすごい鳴き声になった。 「大丈夫だよ、父さんが開けてやるから少し離れてなさい。な、紗弥加」 ドアの外から父さんは優しい声で私を諭しながらも、懸命に開けようとしてくれている。 中では私はどうすることもできずに、ただ取り乱すばかりだった。 自分の部屋といえど暗闇の中に閉じこめられてしまった不安と恐怖だけが私の心を埋め尽くしていく。 何が起こったの? なんでこんな事になってるの? もう、やだよ、怖いよ。
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