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ま、一応紗弥加の足下は、ルーズソックスになっている。
「とりあえず明良、何か着ないと風邪ひくぞ。」
兄貴に言われる通り、マジで寒くなってきた。
スウェットに着替えていると、紗弥加のポケベルが軽快なリズムを奏でた。
「誰?」
静香は、紗弥加の手元を覗き込みながら聞いている。
「ああ、クラスの男子。来週、修学旅行でしょ?だから打ち上げならぬ、打ち入り飲み会しよって話なの。」
「へぇ、紗弥加のクラスって仲いいもんね。」
最初は仲間内しか知らなかったベル番も、次第にそれぞれの世界が変わるように普及率が違っていた。
クラスの男って、わざわざ男に教えなくてもいいじゃねぇか。
「静香のクラスは飲み会とか、ないのか?」
兄貴も、オレと同じように心配してるのだろうか?
静香に話題を振った。
「さぁ、あんまり興味ないから知らない。」
その答えに、兄貴は大きなため息をついた。
安心したからなのかな?
いいよな、彼女が一途で。
静香なんて中学のころから兄貴が好きで、やっと卒業のときに告白して、恋人になれたんだよな。
オレなんて、小学校から一緒にいるのに、全然相手になれてないんだぜ。
「静香は健さん命!だもんね。学校の男なんて目に入らないってか?」
紗弥加はオレの気持ちなんて、ちっとも気づかずに、ケラケラと笑いながら楽しそうにしている。
「じゃあ、お前は学校の男に興味あるのか?
でも、かわいそうに・・・そんなヤンキー丸出し女なんて相手にしようって物好きはいないだろうけど。」
ああ、言わなきゃいいのに、つい憎まれ口を叩いてしまう。
「残念でしたぁ。学校の男なんて狙ってないもん!私は断然男子校の男がいいの♪
アイツら女に飢えてる分だけ、すっごい女を大切に扱ってくれるから気持ちいいんだよね。
間違っても明良みたいな意地悪言う男なんていないもんね、だいたい明良には私の魅力は高尚過ぎてわからないのよっ、フンッッ!!」
予想通りというか、やっぱりというか、紗弥加はどでかい『フン』をオレにくれた。
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