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というのも、最初に寝室に呼ばれた時
「私の血はあなた達にとってとても欲しがる特別なものだと知っています。」
そう言われたのです。
そして血のために、子が誕生したらそのガーディアンになることと子がなくなるまで血を飲まないことを条件にされたのです。
「アルケイン、もちろん血は他の誰にもあげないわ。
貴方の強さを見込んで、この契約を考えたのです。
私はそう長くないことま知っている。」
病気の自分を知ってらっしゃった……。
それから幾年過ぎたあたりか、母君は子を授かり、天に召された。
「…アルケイン?」
もの思いに耽っていた私を現実へと引き戻した少年特有の高い声。
「なんですか、王子」
足をおって、視線をあわせる。
「余は、父君が嫌いだ。」
「左様でございますか。」
黒い髪が風にサラサラと揺れた。
「アルケイン、お前は余に大きな力があるといった。」
「今も変わらず、その御身に宿っておりますよ。」
なら、と私を見た。
何を考えているかは、今ので分かりましたが
「王子、私の眼をごらんください。」
仮面をゆっくり外した。
「アルケ……」
クタリと体が倒れた。
寝室に連れ、ベッドに寝かせた。
記憶操作を行い、王子の物騒な考えを封じ込め、成長したのちに、と私は願う。
早すぎると殺される。
しかし殺されるにはもったいない力と母君の愛情。
「…それまでは、今の陛下で我慢しましょう。」
仮面を付けなおした私は再び夜の空へと翼を広げた。
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