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夜は城の上で月を見る。
輝く星が私の漆黒の翼に艶をあたえる。
聞いたことは無いだろうか。
吸血鬼はまず、人を襲わない。
窓辺に立ち、本人から窓を開けてもらい、そうして招き入れてもらってから首を差し出してもらう。
私共は誘われた通りに、血の通った美しい肌に噛みつくのです。
これは全て催眠術で動きをしてもらっているのですが、言い訳は立つでしょう?
「本人から私に差し出したのです。」と
しかし吸血鬼の私にも契約に縛られることがある。というよりも悪魔やモンスター程聖書を使い、きっちりと契約を交わすものはないでしょう。
私も例外ではありません。
「余をおいてどこへ向かう気だ?」
窓辺に立つ小さな王子
…私は、この王子の誕生と同時に血を飲めなくなったのです。
フェルトにはドジだな。と笑われましたが、私は今のままでもしばらくは構わないとふんでいます。
契約者は今は無き王子の母君。
王子の部屋の窓辺に降り立ち、翼をたたんだ。
「どこへも参りませんよ。」
母君もとても立派で、聡明な方でした。
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