第三話・ステーシアル

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「それにしても、二人とも変わった名前だな。国はどこだ?」 「どこって……、日本だけど……。ひょっとして、ここ日本じゃないの!?」  翔子が問い返すと、アイオンは途端に訝しげな顔をする。 「ニッポン? ステーシアルにそんな名前の国あったかな。ここはホルレストだぞ」  自信たっぷりに言われても、翔子には全く聞き覚えのない地名だった。アイオンの口からは知らない単語ばかりが次々と飛び出してくる。蓮美も首を傾げている。確認するまでもなく彼女も知らないようだった。 「そんなの知らない。そんな国、世界地図でも見たことないもん」  翔子の主張に、アイオンは眉を吊り上げ怒りを露わにする。 「ウソつけ、小さな国だからってバカにすんなよ!」  アイオンはジャケットの内ポケットから長方形の冊子を取り出し、表紙の間に折り込まれた紙を広げて地面に置いた。 「おまえらがどんな地図を見たのか知らないけどな、これが正しい世界地図ってやつだ。よーく見やがれ!」
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