一章.勇者とは剣を携えし者なり

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ガッシャーンッ!!! 窓ガラスが割れる音が、村中に響きます。 どうやら、この村の朝恒例、夫婦喧嘩が最盛期を迎えたようです。 そのガラスが割れる音と共に外に放り出されたのは、だらしない格好の男………えー、何を隠そう僕の父親です。 父親が体を起こすのと同時に、一人の女性が右手に調理用の包丁、左手に人斬り包丁を携えて男の前に立ちました。 こちらは僕の母親です。 「何度言えば理解して下さるの?あなた」 ふふっと笑い声をもらし、母さんは言います。 「浮気するなら二度と帰って来なくて結構です、と何度も申し上げていますでしょう?耳が腐るほど」 父さんは何も言いません。というか言えないようです。 当然ですね、母さんから愛人へ貢ぐために金を盗みとったんですから。
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