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-あの日の言葉-
「あ、あはは…。ホントにごめん。」
ハルはヨウスケが持ってきたお茶に手も着けず、四角いテーブルのヨウスケの横の面に座ると謝罪の言葉を口にした。
「って…いきなり?」
ヨウスケは突然謝罪され、出鼻をくじかれた思いをした。
元気だった?とか、今何してるの?等久し振りの再会トークから始まるものだと思っていたからだ。
「あ、はは…。急ぎすぎたかな。でも、さ、ヨウちゃんには謝っておきたかったから。」
しかし、ヨウスケも思い出していた。ハルにはどうも本題を急ぐせっかちと言われれるきらいがある。
だから、テーブルに肘をつこうと思った瞬間にテーブルをどかされたような、ガクっとなった心境は良しとして。とりあえず、ハルの話を聞く事にした。
「ホントだよ。急にいなくなってめちゃくちゃ心配したんだからな。しかも、また急に現れるし。」
話の流れとして思わず毒づいてしまった。が、ヨウスケは言わなければいけないと思っていた事があった。謝りたかったのは自分の方だったのだと。
ハルの事を一番理解していたつもりで、実は理解していなかったのではないだろうか。
「だから…ごめん。私の事一番理解してくれてたし、一番信頼してくれてたのも分かってた。きっと親友だと思ってくれてただろうし、親友だと思ってた。そんなヨウちゃんを裏切る事しちゃったんだもん。」
ハルの表情が曇る。そんなハルの表情を見たヨウスケの表情も曇る。
テーブルを囲んでお互いにうつむいていた。
「…ごめん。ハルは悪くない。謝るのは僕の方だ。」
ハルは一瞬目を丸くした。謝りに来たはずが、逆に謝られたのだから当然のリアクションかもしれない。
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