14人が本棚に入れています
本棚に追加
――二
――ト、ニ
「トニ」
目を開ければそこには愛しい人が居た。
「……どう、して…」
額にアイツの手が触れる
ひんやりしてて…すっげぇ気持ちいい
そう、これは夢じゃない。
「ッ…俺…何で寝て…!?」
バイトしねぇと間に合わねぇってのに…ッ
瞳を見開き直ぐ様起きる俺に、彼女は腕を掴み動きを止める。
「ッ…何す…!」
俺の腕を掴む彼女の手に、力が籠もる。
「もういいよ…倒れるくらいなら」
情けねぇ…
本当に情けねぇ……。
ほんの一瞬の時間
だけど俺の中では何十分、何時間も経っていた。
やっと出た一言、それが
「ごめん…」
情けないにも程がある。
彼女はその言葉を聞くと、ゆっくりと俺を抱きしめた。
.
最初のコメントを投稿しよう!