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「レーネ」
恋人に名前を呼ばれた。
恋人…そう、恋人に…。
「っ…な、何?」
「何じゃねぇ…今からグンナル達を倒しに行くんだろうが?ボーっとすんじゃねぇ」
あぁ、そっか
今日もグンナルを倒しに行くんだっけ…どうせ負けるのがオチなのに。
「……ねぇ…」
「あ?」
本当は結果が分かっているそっちより
恋人なら…こっちを優先して欲しい。
「やっぱり…買い物に行こうよ?」
「…はぁ?」
分かってる、こんなタイミングで、こんなこと言うのはおかしいけど…
アタシとの用事を選んで欲しかった。
「ほら、この前言ってたじゃん、食堂に新しいデザートメニューが出来たって」
「んなのいつでも行けるだろ、急に何言ってんだ!さっさと行くぞ!」
「待って!買ってほしい香水がね…」
「グンナルに勝ったらな」
「でも…」
――何これ、何なの
――夢と一緒じゃない
――嘘でしょ、止めてよ
――この先は
―――怖い、聞きたくないよ!
瞳が熱くなる
気がついたらアタシは、逃げるようにその場から去っていた。
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