第二章:異変

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本日二度目の目覚めは、それはそれはとてもとてめ気持ちの良いものだった。 取るに足らない、思い過ごしだったのだろう。 私は数時間前の不安を拭い去り、今日も今日とて通学することにした。 自宅から澱商までは距離がさほどなく、自転車で15分・バス停からなら5分そこらで着くという、比較的アクセスしやすい位置にある。 それが目的で入学したんだけれどもね。 軽やかにペダルを漕ぎたい気分だったが、生憎防犯登録をしていなかったマイチャリが先日何処ぞの輩に拝借されたっきりであったので、文明の利器たるバスに乗って通学せざるを得なかった。 仕方なくバス停まで少し歩く。 初春の風に、桜がはらはらと舞っている。 風流、雅だな。 珍しく心からそう思いながら、バス停で春麗らかにバスを待つ。 その途中、歩道の後ろから小学生の男女二人が喧しく叫びながら駆けてきた。 「しねー!ほろびのばーすとすとりーむすらぁあっしゅ!!」 「きかぬわ!くらえ、せいなるしっこくのあかいさばきのつるぎをぉぁー!!」 見ると、縦笛でチャンバラごっこ紛いの事をしながらふざけあっているようだった。 はい。雅、台無し。 これ以上ないくらいに風雅な雰囲気をぶち壊しにされた訳だが、私の横を走り抜けて5メートルぐらい行った所で、片方の男の子の方が派手に転んだ。 先程までの戯れる気持ちなど掻き消えて、大きな声でわんわん無くDS(男子小学生) 冷めた目をして慰めることなくトコトコと先を行くJS(女子小学生) うん。 なんか知らんけど気が晴れた。
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