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春、それは弱肉強食の季節である。
確かに桜は美しい、だが。
だがしかし、その散り行く美しい花は覆い隠しているのだ。
生存競争に敗北し、死滅していった弱者達を。
人々はそんな陰に潜む真実に気付くことなく、馬鹿みたいに桜を愛でる。
曰く、花見という形式に則り桜を鑑賞するのだ。
「そういう訳で、アンタは花見に行きたくない。そゆこと?」
うん、そういう訳で。ではこれにて失礼致し…
ぱかっ。
小気味よい音が頭上に響いた。
数学の参考書に付属している、公式等がまとめてある小冊子を丸めたもので、頭を軽く叩かれたようだ。
うわ、痛っ。血ぃ出たよ。
これ、救急車呼んでよっ。
「アンタ馬鹿ぁ?人がわざわざ偏差値がバリ高でしかもイケメン揃いというU大学テニスサークルとの合コンお膳立てしてきたっつーのに、それを蹴るか普通!!」
私の要求に構わず、目の前のアヤメは少し引くぐらいの大声でまくし立ててきた。
だって行きたくないんだもの。
終着駅はどうせ下半身の連結目的が大半な、合コンとかいう俗世間の集まりに興味ないし、私。
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