第一章:邂逅

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彼女、風巻アヤメは私の高校生活における唯一の友達と言えるだろう。 性格としては遊び好きで合コン大好き、ネイルアートと化粧に命を懸ける、そんな今時の女子高生といった所で。 何故か入学式と始業式以来から、程よく絡むようになった。 大雑把というか、事実を述べるとそのような具合でもう2年の付き合いになる。 私自信、いじめられたりした経験は奇跡的に皆無なのであれだが、ここまで関係が続くとは思ってもいなかった。 正直、一人でいるのが楽なのだ。 群れると他者に気を使わなければならないし、何より女という生き物はそれはそれはもうなんというか色々と面倒な事が多々あるし。 しかしそんな私に構わず、さも当たり前のようにマイPS(パーソナルスペース)に割り込んでくる彼女の存在が疎ましい訳はない。 未だにそれが、不思議で仕方ない。 ともあれ、今回もいつものように私はアヤメに’数合わせだけではない’人数合わせである、花見という名の合コンに誘われている。 以前、忘年会らしきものに参加したのだが、二次会のカラオケBOXにて空気を読まずにひたすらフライドポテトを注文しまくり、会計金額を大幅に引き上げた挙げ句に自分達女子勢は一銭も払わぬという暴挙をやらかした為、以後そのような集まりには顔を出さずに済んでいたのだ。 ただ、アヤメは毎回のように誘ってくれてはいたのだが。 「確かにさー、あの時は男子メンバーが全員顔面×××面で下心丸出しだったから良かったんだけど、いっつもそうじゃないから!今回は純粋な出会いを探しにいく感じだって!ピュアハートがコンセプトですから」 年間通算4回は彼氏変えてる貴女が言うには説得力不足ですよ。 てか、どーでもいいんだけど、一つだけいい? 「ん、ん~?何?やっぱ行く気になったとか??」 目を輝かせながらこちらを覗き込むアヤメに向かって、私は淡々と返事をした。 いや、違くて。 うら若き可憐な乙女が、真っ昼間の教室で顔面×××面とか言いなさんな。汚らわしい。 数秒した後、再び教室に小気味よい音が響いたのは、記すに易い事実であった。
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