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さっきまで天空に輝いていた白い月は、冷たい夜風に流される雲に飲み込まれ、姿を隠してしまった。
「あ~あ、とうとう真っ暗になっちゃったね」
南側の畑を監視してたシーバスが、めんどくさそうに呟いた。
「そうだな。明日あたり、雨になるんじゃないか」
「え~、濡れるのヤだ~」
「天気相手に文句言うな」
「こんな暗いんじゃ何にも見えない! 明かりつけようよ」
「バーカ。んなことしたら、オレらがここにいるのがバレちまうだろ! せっかく3日も張り込んでんのに、今さらパァにする気か」
「いいじゃない、どうせ今夜もスカに決まってるって。ねぇ~、もうこの辺で切り上げて宿に帰ろうよ~。
寒いし、お尻だって痛くなってきちゃったーッ」
シーバスが足をばたつかせるもんだから、オレらが腰かけてた横枝がミシミシと音をあげ始めた。
「うわわッ、やめろって!? 危ねーだろ!!」
オレはシーバスの後頭部をペシリと叩いてやめさせた。
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