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「大体オレ、お前と一緒に登校するだけでみんなからなんか言われるのにさぁ……。相合い傘とか、格好の的だぞ、これ」
「……出ればいいんでしょ」
さすがにこれは言い過ぎたみたいだ。地雷踏んだか?
そう言って傘から出た彼女を、再びそれに引き入れる。
「だから、何でそうなんだよ?」
だから。というのはそのままの意味で、このように彼女が怒るのはいつもの事だからだ。
オレ的には、「分かった。相合い傘で我慢する」とでも言ってくれるのがベストなのだが……何故なのかいつも自分自身を、排斥(はいせき)、とでも言うのか?
とにかく、間違った方向に行く。
「何で、って……」
そう言って、彼女は黙り込んでしまった。
口だけは動いているのが、何とも気色の悪い事で。
オレは勝手に彼女の何も言わなくなり、口をパクパクするこの状態を、妄想モードと呼んでいる。……本当に勝手だな。オレ。
だが、別に間違いでもない。
徐々に赤くなる君の頬。
今日も、愛しさを感じられたから。
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