70人が本棚に入れています
本棚に追加
久々にこちらに反応した彼女に、何かしらのコメントをしてあげる。
――もちろん、意地悪なヤツを。
「……なんでまた、難しそうなお顔をしていらっしゃるので?」
「べっ、別にしてないし!」
この、君の焦る様。
これがかわいくて、オレはこんな性分になってしまったのだが。
「ごまかすの、へったくそ」
オレは悪くない。かわいい反応をする、お前が悪い。
なーんて、心のどこかで責任転嫁をして、傘を畳(たた)んだ。
下駄箱の位置は、遠いという程でもないのだが、この学校内ならば遠いに値する。クラスも、AとFだし。
そんな訳で、ここでお別れ。
「じゃーね。多分、また」
「多分って何!? ねぇ!?」
あえて、ツッコミは無視。
それもオレの性分だ。
……まぁ、何でもかんでも性分のせいにするのはおかしいが。
靴を履き、歩を進める。
君も、もう行っただろうか。
まぁ、ただ……元々の性分というものはどうやら、そう簡単に変わるモノではないらしい。
自分の濡れた、左肩。
つい、頬が緩んでしまった。
最初のコメントを投稿しよう!