彼女の視点。

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 告白は、私から。  みんなが公認の、凸凹カップル。  身長差約二十センチ。  あの、別に彼氏が大きすぎる訳ではないのです。  ちょっとその、私が小さいと言いますか……ぇーと……。  どーせ、一五〇センチもいってませんよーだ。ロリータですよーだ。チビは禁句だよ? 無差別破壊活動、開始するから。  なんでうまくいったんだろう。それまで話した事なんて、一度だってあったっけ?  というか、それ以前に、どうして私はこの人を好きになる事が出来たのでしょうか。  きっかけ……うーん。忘れてしまった。女の子だと言いますのに。  ま、いいかな。  今、好きなんだから。  …………。  どこが好きなんだろう。  うぅ、エンドレスなのです。  なんで好きなの? この人のコト。  好きなのは、間違いないんだ。  一緒にいたら、あったかいから。  目が合ったら、暑くなるから。  でも……さすがに三年は、長いみたいで。  カッコイイ所は素敵。  笑顔も、素敵。  こうなるともう、全部ステキ。  だけどそれは、スキじゃなくて。  なんかあの……もっとこう……。  あぁーっ、分かんない! 「着きましたケド」 「……えっ!?」  彼の一言が、私の精神を現世へと呼び戻した。  もう、着いちゃったんだ。  早いって言うか、私……。  考え事ばっかりしてて、全然話せてないじゃん!  もうかんっぜんに失敗したぁ! 「……なんでまた、難しそうなお顔をしていらっしゃるので?」 「べっ、別にしてないし!」 「ごまかすの、へったくそ」  クラスが離れてるから、当然下駄箱も離れている訳で……。  ここで、いつものお別れ。 「じゃーね。多分、また」 「多分って何!? ねぇ!?」  私のツッコミなんて気にしないで、そのまま悠々と歩を進め出した彼。  何だよ、チクショー。  私の事、好きじゃないのかよ。  なーんて、思ったけど……。  なんだかんだで、優しいトコ。  それが、好きなトコなんだ。  彼のビショビショに濡れた左肩を見て……そう、思えた。
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