彼の視点。

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 雨だ。  それも、ものっそいタイプの。  今朝起きて、窓を開けて、いっちばん最初にそう思った。  風は、そんなんじゃなかったけどね。  我が家の傘の中から、最も大きく、それでいて最も頑丈なのをチョイスし、家を出る。  大きいのだったら、万が一風が吹いた時にやられやすいのではないか。という不安が一瞬頭の中をよぎったが、やはりこれでなければいけないのだ。  なぜならば……。 「そこのお嬢さん、一人かい?」 「……不審者、みたいだよ?」  ツレに、どやされるから。
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