第2章:病気

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屋上に着いて、心地よい風が吹いていた。 かめはフェンス越しに風景を見ていた。 『昔からサッカー好きでさ、大きくなったら出来るって思ってたんだ。』 『....。』 『それが出来ないって分かって、すげ-悔しかったんだ。』 『....。』 『先天性の心臓病なんだ。』 『...仁。』 『生まれてから今まであんまりいい思いしてなくてさ。』 『....。』 『ご飯も気を付けて、運動も出来なくてさ。』 『....。』 『いやになるな。』 『...仁??』 『なに??』 そう言うとかめは黙ってこっちに来て、ぎゅっと体を抱き締めてきた。 『かめ??』 『無理しちゃダメだよ。』 『うん、かめもね。』 『我慢とかしちゃだめだからね。』 『わかった。』 『約束して。』 『あぁ。』 俺がそう言うとかめは体を離した。 『もう一つ聞いてもいい??』 『うん。』 『初めて会った日、ここから下を見てたのはサッカーしてる子が居たから??』 『あ-、うん。』 『そっか。』 『うん。』 『じゃあ、そろそろ戻ろっか。』 『おう。』 そう言って、かめと俺は病室に戻った。
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