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病室に入って、仁のそばに行った。
仁は眠っていた。
でも、涙の跡が残っていた。
しばらく見つめていると、仁の目が開いた。
『..ん..。』
『...仁。』
『...かめ。』
そう言って仁は、起き上がり俺の体を引き寄せた。
俺は仁に抱きつく形になった。
それと同時に僕の服が濡れる感覚に気付いた。
『...仁、泣いてるの??』
『...ごめん、な。』
『...仁。』
『...ごめん。』
僕はそっと体を離した。
『...仁。』
そっと仁の涙を拭いた。
『カッコ悪いから顔は見ないで。』
『もう、仁は。』
そう言って僕は仁を抱き締めた。
仁は背中に手を回した。
『泣いてもいいよ。』
『...。』
『僕が仁の全てを受け止めてあげる。』
『...かめ。』
『だから、泣いてもいいよ。
ずっとそばにいるから。』
僕がそう言うと、仁の泣き声が聞こえた。
それから仁が泣き止むまでずっと、背中を摩ったり頭を撫でたりした。
しばらくすると、仁は僕から体を離した。
『今、水持ってくるね。』
僕は前もって買っておいた水をコップに注いで仁に渡した。
『ありがと。』
『いいえ。』
『あのさ...。』
『中丸から聞いたよ。』
『...。』
『秘密の場所の経緯もね。』
『そう。』
『納得せざるおえないよ。』
『...。』
『...仁。』
『俺は、かめが嫌なら移植受ける。』
『...。』
『かめの為なら、受けるよ。』
『僕は...仁が居てくれれば幸せになれるよ。』
『じゃあ...。』
『でも、それよりも仁が幸せじゃなきゃ、僕も幸せじゃないんだ。』
『...かめ。』
『仁が幸せで後悔しないなら、それでいい。』
『...かめ。』
そう言うと仁はまた、涙を流した。
『仁って意外に泣き虫なんだな。』
『かめが泣かすからだろ。』
『そうですか。』
そう言って仁の涙をまた拭いた。
『かめ、ここ来て。』
そう言って仁は布団をめくり、ポンッと叩いた。
僕は仁の指定どおり、その場所に行った。
布団をかけられ、引き寄せられた。
『ずっと、一緒に居よう。』
『うん。』
しばらくして泣き疲れたのか、仁はいつの間にか寝ていた。
『...絶対、後悔したら駄目だからな。』
そう言って僕は仁の頭を撫で、眠りについた。
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