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-A side-
夢を見た。
俺とかめは幸せそうに笑っている。
俺が手を伸ばすとかめは消えていなくなる夢。
俺は一人その場に泣き崩れていた。
そこで目が覚めた。
ふいに隣を見れば、かめは居なかった。
荷物は置いてある。
帰っていないんだと分かっていても、心が寂しかった。
『あれ??仁、起きたの??』
『...かめ。』
『どうしたの??』
かめは俺のそばにきて、涙を拭いてくれた。
俺の腰に抱きついた。
かめは俺の頭を何度も撫でてくれた。
『仁、どうしたの??』
『..で..。』
『ん??』
『..嫌わないで。』
『....仁。』
『...お願い。』
『嫌わないよ、絶対に。』
かめの言葉を聞いて、我に返って体を離した。
『...仁??』
『朝からごめんな。』
「俺にも謝ってくれない??」
『居たの??』
『先生、おはようございます。』
「居たよ。
やっぱり、和也クンは礼儀がなってる子だ。」
『どうせ俺は礼儀がなってませんよ。』
「ムキになんなよ。」
『..わかったよ。』
「...答えは出たのか??」
俺はかめを見た。
かめは俺の目に気付き、笑ってくれた。
『...出たよ。』
「その様子だと真剣に話し合ったんだな。」
『当たり前。』
「答えは??」
『...しない。』
「和也クンは、それでいいのか??」
『...はい。』
「二人が納得してるならそれでいい。」
そう言って先生は出ていった。
『....仁。
もう少し一緒に居てあげたいけど、今日は行くとこがあるから一旦帰るね。』
『わかった。』
『用事が終わったら戻ってくるから、おとなしくここで寝ててね。』
『わかった。』
『仁は返事だけいいんだから。』
『ちゃんと、ここで待ってるから。』
『約束だからね。』
『あぁ。』
『あ、中丸が来るって連絡くれたから。』
『わかったよ。』
『じゃあ、行ってくるね。』
『いってらっしゃい。』
そう言うとかめはこっちに手を振った。
それを見て俺も手を振り、見送った。
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