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俺はかめを見送った後、一人ボーッとしていた。
ただ、外を眺めてボーッとした。
『辛気くさい顔して、何考えてるんだよ。』
その声に振り向けば、すぐ近くに中丸がいた。
『...中丸。』
『気配にも気付かないなんてな。』
『そうだよな。』
『外が恋しいか??』
『え??』
『昔から抜け出すのが特技だっただろ??』
『そうだよ。』
『この時期だったよな、秘密の場所を見つけたのはさ。』
『あぁ。夏休みだったよな。』
『そうだよ、暑かったな。』
『うん。』
『で??』
『ん??』
『何がお前をそんな顔にさせてるんだよ。』
『...。』
『何を考えてる??』
『...中丸はさ。』
『ん??』
『大事な人を泣かすようなこと、しないよな??』
『...。』
『俺って最低なのかな??はは。』
俺はなぜだか笑えてきた。
『...自分勝手なやつだけど、最低だとは思ったことない。』
『...。』
『自分勝手でどうしようもないやつだけど、最高のやつだよ。』
『...中丸。』
『誰かのことを想いながら生きられることはすごいことだからな。』
『...俺さ、分かんないんだ。』
『...。』
『かめが泣くと胸がチクチクして、かめが笑うと嬉しいんだ。』
『...へぇ。』
『悲しませる恋人って嫌じゃん??
でも、離せないし離れたくない。
ホント、自分勝手なやつなんだ。』
『...。』
『かめを悲しませたくない。
かめの涙なんか見たくないんだ。』
『...。』
『さよならなんて出来ない。』
『...赤西。』
『何言ってんの??』
その声の先を見た。
そこにはかめと上田がいた。
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