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和也と名乗る子に会ってから、もう一週間は経った。
あの日から気が向いた時には屋上に通った。
その中の何回かは、和也と名乗る子に会った。
そして、今日。
部屋が空いたからと看護師さんに言われ、俺は一緒に移動した。
部屋に着くと、向かえのベッドには既に人が居た。
相手もこっちに気付いたみたいでこっちを見ていた。
『あ!!もしかして、仁くん??』
『もしかして、和也くん??』
『やっぱそうだ。』
「和也くんと仁くんは、知り合いなの??」
『屋上でいつもお話してる子なんだ。』
「和也くんがいつも話してくれる子って仁くんだったんだ。」
『今日から一緒だね。』
『うん。』
『やったね。』
「じゃあ、仁くんはあっちのベッドだから。」
そう告げると看護師さんは出ていった。
看護師さんが出ていって、俺はベッドに入った。
『そういえば、仁くんは何歳なの??』
『俺は14歳。』
『そうなんだ。』
『和也くんは??』
『僕は13歳。』
『へぇ-。』
俺がそう告げると和也くんはこっちに来て、椅子に座った。
『なに??』
『くんは付けなくていいよ。』
『え??』
『みんなには"かめ"って呼ばれてるから。』
『かめ??』
『そう。だから、そう呼んで??』
『俺もくんは付けなくていい。仁って呼んで??』
『わかった。』
そう話していると時間はあっという間だった。
昼食も夕食も飽きずに色んな話をした。
ただ、お互いにここにいる理由は話さないままで。
夜、寝るまでずっと他愛もない話をしてお互い眠りについた。
そう、これが俺ら二人の出会いの始まり。
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