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「竜の血って! どうやって!」カインは目を丸くして、怒鳴り立てた。そんなこと出来るわけが無い! そして、冷静になって、ごめんと謝った。だけど、エルファはにっこりと笑い、「知り合いがいるの」と言った。「つい最近に出来た知り合いだけど」
「竜の知り合い?」そんな馬鹿な。だけど、よく考えたら、エルファは普通の人とは違うのだった。翼だって生えてるくらいだし、エルファならいてもおかしくないかも。妙な信憑性があった。
「実はライカンスロープについての知識も、半分はその人の受け売りなんだ。私、あなたが眠っている間、いろいろ調べていたの!」
私、頑張ったよ! と言った感じの笑顔で、胸を張る様子が愛らしくて、カインは微笑んで、「ありがとう」と言った。さっきまでの緊張がすっかり解れてしまいそうだった。
「あなたが来る少し前に、ここに来ていた人なんだけどね。あなたと同じく怪我をして、私が面倒を見ていたの」カインはその言葉を聞いて、少し焼餅を焼きたくなった。相手が男か女か、それにもよった。
「名前はアンスウェル、白竜のおじさんだよ」
カインは焼餅を焼くことにした。
「急にむすっとして、どうしたの?」エルファは意味も分からず、首を傾げるばかりだった。
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