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「ああ、ただの仕事の電話」
オレは素っ気なく答えた。
「そっか。いまどきケータイも使えないんじゃ不便だよな」
そう言うと山下は自分のケータイを開いた。
「おお、やっぱ圏外だ。一本も立たないんだな」
山下は小バカにするように言った。
「当然だろ、こんな山奥なんだから」
ガラス張りの壁から外を見やると、見慣れた雑木林の緑が目に映った。
ここは峠付近のガソリンスタンド。
ここを逃すと、ここから30分はスタンドどころか民家さえ無い。
「だよな…」
ケータイを畳みながら山下はどこか寂しそうに呟いた。
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