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翌日の夜は お経は来なかった。なんでも合コンが入ったらしく、電話からの声はウキウキしていた。
なんで俺を誘わない?
まぁいい…。合コンに頼って彼女を見つけるなんてヌルイ考えは俺には無いからな。
そもそも出会いってのは偶然くるもんだ。
ふとくるもんだ。
「…さて」
俺は考えた。例の女はテレビの中の存在。というよりもテープの中の存在。
どうやっても触れられる事のできない存在。
仮にまた女が怪我をしたとしても手当てをしてやれないだろう。
しかしだ。
お互い画面ギリギリまで近寄って、テレビ画面のガラス越しに触れれば少なからず、温度くらいは伝わるのでは?
それなら思いっきりきり冷やしたタオルなら、女の皮膚を冷やすことはできるだろう。
まぁそもそも、俺を殺したいみたいだから近付きたくもないが、一応な?
毎日毎日、殺すなんて言われたら、こっちだってたまったもんじゃない。
氷水で冷やしたタオルを準備して俺は、またまた例のテープをビデオにセットした。
ん?…あれ?
出てこねぇ。
どこ行ったんだ?
「おーい…いるか?」
……
……返事無し。
まぁいい。殺される心配もないしな。
…
……
……一応テープは回しておこう。
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