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そっと鼻のところにタオルを当てた。
その瞬間、女の白い頬が鼻よりも赤くなり始める。
「どうだ?伝わるか?冷たい感じ。」
そう言うと女は何故かその場にサッとしゃがんでしまった。
ありゃ?効果なかったか?
「おーい、どうなんだ?そのままじゃ余計に腫れて…」
『うるさい!』
…何故か怒られたよ。怒る事を俺がしたか?むしろ褒めてほしいぐらいだ。
でも今の声、今までと違った声してたぞ。完全に人間の声だ。
俺がまたタオルを冷やしていると、画面の下からオロオロと顔を出し始めた女。
しかしいい加減、長い髪が邪魔で顔が見えないから、しゃべるにもしゃべりずらい。
「差し支えなければ、顔を見せてくれないか。話しずらくて多少こまるんでね。」
ゆっくりではあったが女は髪を上げ、俺をギロリと睨んできた。
いや、うーん。。。
睨むのは結構だが、そのつぶらな瞳で睨まれても、正直恐いとは思えないなぁ。
女は美人だった。幽霊に年をつけるのもあれだが、明らかに俺と同世代だ。まだ若い。おそらく、普通に生きてたら お経は必ずナンパをするだろう。それだけ可愛かった。
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