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「……此所どこ……」
桜の歩む足は、おぼつかない足取りで途中で止まってしまった。
長屋ばかりが軒を連ね、思わず桜は溜め息が漏れる。
足が疲れた……タクシーほしい
アスファルトの道ではなく土に小石が混じる舗装されていない道だ。
ヒールは歩きにくく、ジャリっとする、その音も……街並みも自分の生きていた時代ではないと痛感させられるものだった。
タクシーもなければスクランブル交差点やコンビニもない。
止めた足を動かすものの桜は、思わず周りから目を反らした。
行き交う人々は皆、桜を見ていたからだ。
皆の目に映る桜は日本人ではなく異人と映っているのだろう。
不信感を抱く目や、嫌悪を抱いた目が窮屈で仕方なかった……。
……一緒か……どの時代も……
「………私なんかした?」
江戸時代とか……知り合いなんている訳ないし…先祖??先祖は誰??私の先祖…分かるわけないし…
「ああぁぁ!!もおやだ!!」
桜はワシャワシャと頭を掻いた。
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