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外は陽射しが辺りを照らしていた。
……何此所……東京じゃないでしょ……
桜は思わずキョロキョロと興味津々で辺りを見ていた。
庭のような広い土地に長い廊下。
ギシギシと軋む廊下を歩き、青年はピタリ部屋の前で止まった。
「土方さん、失礼しますね」
パシーン!!
けたたましい音とともに障子は全開だ。
「……てめえは何回言ったら気がすむんだ。返事してから開けろって言ってんだろ。毎回言ってんだろ」
「えっ??前も言いましたっけ??……ははっ」
「……なあ、お前はだいたいなあ℃#●♀□$〒※∋……」
「えっ?なんですか?土方さん怒りすぎてよく聞こえません」
この人総司って名前なんだ
二人のやりとりの中、桜は全く会話を聞いてなかった……。
「……おい……。お前……そこのお前!!」
「はっ??私??」
桜は肩をピクリと反応させると声の主の方に目を向けた。
土方と呼ばれた人物は、切れ長の目を桜に向けたままだ。
黒髪を束ねる土方は、文机の前から誘導するように部屋の中に視線を流した。
「突っ立ってねえで座れ」
低い声で畳を指差せば、桜はその位置に正座で座った。
……よく分かんないけど……総司って人が正座してるし……それに土方とか言う人の目……怖い
対面する土方に、桜は目を細めた。
「総司から報告はうけたが……お前のその髪の毛の色といい、身なりといい……。聞きてえことがいくつかある。まず、異人の血が混じってんのか」
「異人?普通外人って言うでしょ……。どこからどう見て、私は日本人です。てゆうか、此処すみませんが、旅館ですか?」
「……旅館?」
゛旅館じゃねえよ……なにいってんだこの女……日本語は喋るが身なりがおかしいだろ″
土方の目が警戒と、その口調に余計に目が細くなる。
桜は思った事がつい口に出てしまった。
桜の身なりを土方が警戒するのは当たり前。
胸元にネックレス、そして花柄のワンピースを着ているのだから……。すらりとのびた脚がスカートから覗き、見たこともない服装に違いはなかった。
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