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「くくっ……」
土方から見て左手に座る総司は、何が面白いのか笑いをこらえているが、こらえきれず肩が上下している。
「……総司。おめえは何が面白いんだ」
「だって土方さんに噛みついて喋る女性の方なんてふでさん以外、見たことがなかったものですから」
総司は一人ケラケラ笑う中、土方の額には青筋が増えていく。
この人……おちょくられてる……
桜はその光景をただ眺めていたが、溜め息をしつつ土方は再び口を開いた。
「わりいがお前の名は、それに出はどこだ」
「……出??えっ。
私は望月 桜(モチヅキ サクラ)と言います。出は……出身は、東京です」
「……東京?どこだそこ?」
「……望月さん東京ってどこですか?」
「……えっ?だから東京ですよ。日本の中心の……。ハチ公がいるって言えば流石に分かるでしょう」
「……ハチ公?なに言ってんだ。日本の中心は京だろおが」
「……望月さん?」
土方の不信感は募り、総司もわけがわからず首を傾げている。
……なんか……会話が変……
「……お前、どっから流れてきた。異人でもなけりゃあ間者でもそんな奇抜な身なりはしねえぞ」
「間者が川に浸かって倒れますか、普通?そんなへまします?しないでしょう。土方さんは本当に「おめえは黙っとけ!!うるせえ!!」
「すぐ怒鳴る……」
総司は、ふてくされた。
「……あの……。すみません……。なんで袴とか履いて刀を持ってるんですか?
昔ならまだしも今の時代、刀なんか持ってたら銃刀法違反で逮捕されますよ」
「……なに訳わかんねえ事言ってんだ……。今の時代刀持ってねえと戦えねぇだろうが。それにジュウトウなんとかってなんだよそれ」
はっ??やっぱり変??
桜の不安は最高潮になり、心拍を上げた。
「すみません、今2009年ですよね?」
「……2009年?何の戯れ言だ。頭がおかしいのか、打ったのか知らねえが今は文久四年だろおが」
えっ……?文久四年……?
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