▼▼未来からの訪問者▼▼

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「文久……。えっ……」 えっ………なんで…………タイムスリップ…??…えっ……えっ……嘘…… 混乱する桜の頭。 冷静に考える事も出来ず、桜は思わず額に手を当てた。 「身元が分からねえもんを部屋に置くことはできねえ。総司、明日近藤さんが帰ってくるまでこいつを蔵に入れておけ」 「蔵になど流石に可哀想でしょう」 総司の反応に、土方は一瞬驚いた様子だったがそれも一瞬の事。 「これは副長命令だ。連れてけ」 「……鬼……」 「あっ?なんつった」 「別に何も言ってませんよ。土方さんの幻聴でしょう」 憎まれ口を叩きながらも、総司は桜の前に方膝をついた。 「行きましょうか……」 ……タイムスリップ……嘘でしょ……なんで江戸時代に……蔵ってどこよ…… 頭を駆け巡るのは蔵への想像に、総司に続き部屋を出ようとしていた桜だが、何の前触れもなく歩みを止めた。 「帰る場所なんてないんですから、逃げも隠れもしませんよ」 煙管の煙がふわふわと上にのぼる。 ふわふわと……ふわふわと。 「帰る場所がない……か……」 二人が去った後、土方はぽつりと呟いた。
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