▼▼現代▼▼

3/11
前へ
/40ページ
次へ
いつものようにお風呂に入り、化粧をして髪を巻く。 鏡に向かいリップを塗り…香水をふる…。 内巻きと外巻きに巻いた髪の毛…茶色の髪の毛を軽く持ち上げ、桜はブランドの鞄を片手に持つと仏壇の前に座った。 チーン… 「お父さん、お母さん今日も行って来ます」 桜の見つめる先には…写真に写る若い父と母が笑っていた…。 茶髪のロングの母…黒髪の短髪の父の表情が変わる事はなかった。 バタンッ 父と母の遺影に手を合わす桜の姿を見守る人は…誰もいなかった…。 ヒールを履き…エレベーターに乗るが、桜は壁に背をもたれた…。 ドアを閉めるのも…いつから私慣れた……一人で…… 太陽の代わりに辺りを照らすネオン。 行き交う人々…スクランブル交差点…行き交う車…そんな中を歩き、埋もれていく…人々の流れに乗るように…桜は歩いていく。 フラフラと片手に持つカバンを桜は振った。 何回繰り返せばいぃんだろ…この行動… 「いらっしゃいませ」 コンビニに入る行動も… 「四百円になります」 お金を出す行動も… 煙草を吸いながら歩く行動も… 毎日、毎日同じ事の繰り返し… 全部が嫌になる… 「病んでる…」 自分でも分かる…全部がダルい… 変わらない日々…何も変わらない毎日…光景…。 キャバクラや…ホストクラブが軒を連ねる大都会の東京…。 キャッチの黒服が道にうじゃうじゃと存在する中、看板が紫色の一際大きい建物の裏を、桜は通っていた。 今日も多いな… 立ち並ぶように待つお客に目を細める桜は…ドアノブを持った…。 ネオンが煌びやかに光る店の中は、トランスがガンガン鳴り…頭に痛いぐらいその音が響く。 廊下の灯りが怪しく光り…その先に見える更衣室…見ればハァと息を逃がし…桜はゆっくりとドアを閉めた。 バタンッ…
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3399人が本棚に入れています
本棚に追加