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いつものようにお風呂に入り、化粧をして髪を巻く。
鏡に向かいリップを塗り…香水をふる…。
内巻きと外巻きに巻いた髪の毛…茶色の髪の毛を軽く持ち上げ、桜はブランドの鞄を片手に持つと仏壇の前に座った。
チーン…
「お父さん、お母さん今日も行って来ます」
桜の見つめる先には…写真に写る若い父と母が笑っていた…。
茶髪のロングの母…黒髪の短髪の父の表情が変わる事はなかった。
バタンッ
父と母の遺影に手を合わす桜の姿を見守る人は…誰もいなかった…。
ヒールを履き…エレベーターに乗るが、桜は壁に背をもたれた…。
ドアを閉めるのも…いつから私慣れた……一人で……
太陽の代わりに辺りを照らすネオン。
行き交う人々…スクランブル交差点…行き交う車…そんな中を歩き、埋もれていく…人々の流れに乗るように…桜は歩いていく。
フラフラと片手に持つカバンを桜は振った。
何回繰り返せばいぃんだろ…この行動…
「いらっしゃいませ」
コンビニに入る行動も…
「四百円になります」
お金を出す行動も…
煙草を吸いながら歩く行動も…
毎日、毎日同じ事の繰り返し…
全部が嫌になる…
「病んでる…」
自分でも分かる…全部がダルい…
変わらない日々…何も変わらない毎日…光景…。
キャバクラや…ホストクラブが軒を連ねる大都会の東京…。
キャッチの黒服が道にうじゃうじゃと存在する中、看板が紫色の一際大きい建物の裏を、桜は通っていた。
今日も多いな…
立ち並ぶように待つお客に目を細める桜は…ドアノブを持った…。
ネオンが煌びやかに光る店の中は、トランスがガンガン鳴り…頭に痛いぐらいその音が響く。
廊下の灯りが怪しく光り…その先に見える更衣室…見ればハァと息を逃がし…桜はゆっくりとドアを閉めた。
バタンッ…
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