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カーテンから黒服のボーイが部屋を覗き笑いながら桜を見るが、直ぐに目が細くなった。
゙桜か…″
若い今風のボーイは茶髪の髪の毛、桜と同じ髪の毛の色。
その端正な顔立ちが崩れた。
嫌だった…お客の所に桜が行くことが…何故なら好意を持っていたから。
「いつものお客さん、120分ね」
「はーい」
「桜ちゃん三番の箱使ってね」
「了解です」
その気持ち伝わる訳もなく…桜はグシャリと煙草を消し…お絞りが入ったかごを持ち待機室から出ると廊下を歩き始めた。
店内での恋愛禁止…。
桜は興味など特になかった…そして部屋の前で止まっていた。
廊下にはパネルも貼られ…三年間No.1を張る桜が大きく貼り出されていたが…それにも目が入らず…ドアノブをもったまま止まっていた…。
あのボーイさんがいつか言ってたよなぁ…
《桜ちゃんって源氏名本名でするの??みんな源氏名作ってるよ》
考えてもピンとくる名前もなかった…お父さんとお母さんからの最初で最後の贈り物…確かそぉだった…
止めよ、仕事中だった
源氏名…それは、もう一人の自分を作り上げ…その子を演じる。
だが桜は源氏名を作らず…昔を思い出せば…ハッと笑ってしまった。
ガチャ
「失礼しまーす」
また同じ事の繰り返し…
桜の職業。
体を売る夜の仕事…。
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