第1章 ながい眠り

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「お前の運命を悔い改めるんだ」  右膝を軽く曲げて、腕を後方にひいてから姿勢を低くたもつ。勢いをつけて伸ばされた腕。  そして手刀がモップ頭の左胸に突き立てられた。  獣は目を見開いたままその動きを止めた。 「ウェッジ、完了」  そんな事を決め台詞のように言い放つ。  引き抜いた手には血が着いたわけでもなく、相手に外傷は見られない。  へたり込んでる少年には目もくれず、歩は商店街方面へと足を向けた。  いつの間にか夕闇になり、風の中で草花がなびいている。  サラサラと鳴る草が笑っている様で、達成感からくる微笑みを浮かべる歩を讃えてるようだ。 「初仕事が成功したんだし、一応報告しておくか」  駆の番号を呼び出す歩の手はふるえていた。最初の任務が成功するとは思っていなかったのだろう。  勝利の余韻にひたる歩は、自分分の心音とコールを重ねていた。  しかしその時である。 「いってぇ!?」  突然、後頭部に走った激痛とまぶたの裏に輝いた星たち。  前のめりになりながら、ゆるい傾斜の芝に顔面から倒れこんだ。  さきほどまで称賛してくれていた草たちが、今度は耳元でざわざわとおびえた声で騒ぎだしていた。  半身を起こしながら後ろを振りかえってみると、そこには眉間にシワを寄せながらにらみをきかせるモップ頭。 「な、何だぁ?」
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