198人が本棚に入れています
本棚に追加
とても深く、静かに西村は言った。
気付くと、プープーと電話が切れた音がしている。
西村がこれまで愛の言葉を囁いたことはない。
こちらが好きだと言っても、西村はただ笑っているだけだった。
それに西村は最初に言ったはずだ。
お互いに干渉はしない、と。
なんだか怖くなって、キッチンに向かい、冷蔵庫からビールを取り出して飲んだ。
気を紛らわしたい。
一本しかないビールをあっという間に飲み干すと、あたしは流しの下の棚を開けて、日本酒のビンを取り出した。
コップに注いで飲む。
お母さんにもらった、いちごのマグカップに並々注ぐ。
3杯目を注ごうとしたが、耳元でいおり、愛してるよ。聞こえた気がして、ビンに直接口を付けて飲んだ。
そこで記憶が飛んだ。
最初のコメントを投稿しよう!