第一章-俺は恥さらし-

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カタカタカカタ… 小さく何かを叩く音が辺りに響くと、真っ白な空間には一つの長テーブルとテーブルに合わせた木で造られた七つの椅子があり、会議室のように見える。 「奴等の動きはどうなのだ?」 テーブルと同じ作りの椅子にはそれぞれ、人が腰かけており書類を片手に珈琲の匂いと湯気が部屋内に充満している、一時の沈黙を破るように一人の男が口を開いた…一同の視線は書類に釘付けだが話は聞いているようで男の言葉に向かいに座っていたスーツ姿の男が立ち上がる 「独自で調べた結果…復活の時は近いとの事です」 最初の男よりも若めの声で、皆が皆仮面を付けている為、表情や人相は分からないも声質からは若いということだけは分かる 「ふむ…再び戦火が降り注ぐ事は避けられないであろうな。我より命を下すが、二言のあるものは居らぬか?」 男が少し寂しげな声質で話し一同に問い掛けるように言うと、誰も二言は無いと言わんばかりに再び沈黙となり 「それでは…此処に宣告を下す。五賢の境界…及び、世界全土の魔術師、騎士団、ギルドは魔族出現と共に全力で殲滅に当たるようにせよ」 男の言葉に部屋に居座る者達は一斉に立ち上がり胸元に手を当てて一礼をすれば部屋から一人…また一人と出て行く 「長老様、三大学団の生徒達にはどう指示を出しましょうか?」 長老と呼ばれた男のすぐ後ろに眼鏡を掛けて目の前の機器に手を触れてはカタカタカタと音をたて空間の壁を伝いつつ反射しては響き 「そうじゃな…もうそろそろ学院内対抗試合の時期じゃろうからそこで優秀な人材を見極めてギルドと共に同行させ魔族の殲滅にあたらせよう」 「わかりました。それでは各家に報告し学院の先生方と通達し見極めて頂く形を取ってもらいます」 長老の言葉を把握したのか、眼鏡をクイッと上げて目の前の機器を持ち立ち上がると扉から出ていき、長老は仮面からはみ出た髭を触り 「子供達に無理はさせられぬなぁ…じゃがこれも運命、分かってくれるであろう。」
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